布にも“旬”があります。

“旬”は、食で使われる言葉ですが、布や服にも、やはり“旬”があります。

それは、麻なら夏向き、毛なら冬向きといった素材だけで決まるのではなく、織り方やデザインなどでも変わります。そして、さまざまな作り方によって、布になり、服になったときに、“旬”が決まります。

“旬”は時候に合わせて変わるので、布に“旬”を感じることは、そのまま季節を感じることになります。そして日本には、四季や、15日ごとの二十四節気、5日ごとの七十二候があるほど、彩り豊かな季節があり、人々は昔からそれを感じて楽しみながら暮らしてきました。

ですので群言堂は“旬”の布たちを、もっと紹介していきます。皆さんの布選び、服選びに役立ち、また楽しんでいただけたらと思います。

9月〜11月ごろの季節

9月 白露 玄鳥去 (つばめさる)
秋分 雷乃発声 (かみなりすなわちこえをはっす)
蟄虫坏戸 (むしかくれてとをふさぐ)
10月 水始涸 (みずはじめてかるる)
寒露 鴻雁来 (こうがんきたる)
菊花開 (きくのはなひらく)
蟋蟀在戸 (きりぎりすとにあり)
霜降 霜始降(しもはじめてふる)
宴時施(こさめときどきふる)
11月 楓蔦黄(もみじつたきばむ)
立冬 山茶始開(つばきはじめてひらく)
地始凍(ちはじめてこおる)

「七十二候」をかなで読むと、季節の移り変わりが分かりやすいですね。
秋が訪れ、深まって、冬を感じ始めます。

さて、それでは群言堂の“旬”の布をご紹介します。

里山パレットリネンワッシャー(2024年秋冬)

麻100%

素朴な洗いざらしの風合いに、里山の植物から授かった色が味わい深く

旬の時期

糸の表情を生かしたヴィンテージ感が、深まりゆく季節に映えて

暑さが影をひそめ、日に日に空高く空気が澄んでゆく季節。こんな時期こそ、薄すぎず厚すぎず、着回しやすい里山パレットリネンワッシャーの出番です。

フランス・ノルマンディ産の上質なリネンを贅沢に使い、国内有数の織物産地・遠州で生地にしています。経糸(たていと)と緯糸(よこいと)に、太さの異なる糸を配して織り上げた生地は、糸の表情が生きて味わい豊か。そこへさらにワッシャー加工をほどこして、ヴィンテージ感漂う洗いざらしの風合いをつくり出しました。

織りから染めまで、できるだけ糸に負担をかけずに仕上げているため、リネン本来の素朴な味が生きているのも魅力。ほどよく目の詰まった生地は、しなやかでありながら透け感もなく、着込むほどに肌になじみます。

里山の植物から授かった色と、一期一会の出会いを

私たちの暮らす大森町と近隣エリアから採取した植物で衣を染める「里山パレット」。化学染料だけでは出せない、複雑で奥行きのある表情が魅力です。以前と同じ植物を使っていても、染め方のさじ加減で、色の出方や雰囲気がガラッと変わるのも面白いところ。4種の植物から授かった、2024年の秋冬だけの色、どうぞお楽しみください。

栗(つちいろ)

秋の味覚、栗の実をおいしくいただいた後に残る皮を染料にしました。ほっこりまろやかな茶色をお楽しみください。

ブルーベリー(あかいろ)

収穫前に地面に落ちてしまい、出荷できなくなった果実を拾い集め、染料にしました。華やかさの中にも深みのある大人の赤です。

くさぎ(うすみどり)

白い花が散ったあと、鮮やかな赤い星のようなガクに、青黒く熟した実をつけるクサギ。そのガクと実から、緑がかった青を抽出しました。

ノグルミ(こいねず)

まるで松ぼっくりのような姿をしたノグルミの実や樹皮から授かったのは、シックな墨色。大人っぽい着こなしを引き立てます。

「里山パレット リネンワッシャー」の服たち

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「里山パレット」とは

大森町の周りに生息する植物たちで染めた「里山パレット」シリーズ。野の草花の色をまとう楽しさは、格別です。

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