《 ウールシルクスラブ二重織 》が、この季節におすすめな理由をお話しします。
寒さが本格化するこれからの時期に、体だけでなく心まであたためてくれる衣をつくりました。手紡ぎ糸のような素朴な風合いに、8色ものネップ(節)が織り込まれた表情は、どことなくノスタルジック。袖を通すたび、手の込んだ仕事の魅力が味わえます。
糸づくりは、まずシルクを混紡したウールのわた(毛90% 絹10%)に、8色のネップを練り込んでカーディング(繊維の向きを揃えること)。その後、今では希少となった「ミュール精紡機」で、ふっくらした糸に紡ぎます。こうしてできあがった糸は、日本有数のウール生地の産地、尾州に送られ織り上げられます。
ここまで凝ったネップ糸が姿を消しつつある中、三河や尾州の産地と、あえて高度な技に挑んだ念願の作。「語り継ぎたい仕事」をまとう喜び、どうぞお楽しみください。
旬の時期
職人技のリレーから生まれた、手紡ぎ風の味わいと多色の彩りを愛でる
コート翡翠葛(ひすいかずら)しらちゃ モデル身長:157cm
コート丸葉菫(まるばすみれ) こんいろ モデル身長:157cm
コート翡翠葛(ひすいかずら) こんいろ モデル身長:164cm
コート翡翠葛(ひすいかずら)こんいろ
《 ウールシルクスラブ二重織 》の服たち
08 愛知のウールシルクスラブ二重織【愛知県】|暮らしの布図鑑
まるで手紡ぎのような素朴な風合いに、色とりどりの絵の具を散らしたような表情が、布好きの心をくすぐるコート生地。ここまで凝ったネップ糸が姿を消しつつある中、三河や尾州の産地とあえて高度な技に挑んだ、群言堂にとって特別な思い入れのある布です。私たちは、この生地の命である糸づくりのことを知りたくて、愛知県の岡崎市を訪ねました。
布の“旬”とは?
“旬”は、食で使われる言葉ですが、布や服にも、やはり“旬”があります。
それは、麻なら夏向き、毛なら冬向きといった素材だけで決まるのではなく、織り方やデザインなどでも変わります。そして、さまざまな作り方によって、布になり、服になったときに、“旬”が決まります。
“旬”は時候に合わせて変わるので、布に“旬”を感じることは、そのまま季節を感じることになります。そして日本には、四季や、15日ごとの二十四節気、5日ごとの七十二候があるほど、彩り豊かな季節があり、人々は昔からそれを感じて楽しみながら暮らしてきました。
ですので群言堂は“旬”の布たちを、もっと紹介していきます。皆さんの布選び、服選びに役立ち、また楽しんでいただけたらと思います。
12月〜2月ごろの季節
12月 | 冬至 | 乃東生 (なつかれくさしょうず) |
麋角解 (さわしかのつのおつる) | ||
雪下出麦 (ゆきわたりてむぎのびる) | ||
1月 | 小寒 | 芹乃栄 (せりすなわちさかう) |
水泉動 (しみずあたたかをふくむ) | ||
雉始雊 (きじはじめてなく) | ||
大寒 | 款冬華 (ふきのはなさく) | 水沢腹堅 (さわみずこおりつめる) |
2月 | 鶏始乳 (にわとりはじめてとやにつく) | |
立春 | 東風解凍 (はるかぜこおりをとく) | |
黄鶯睍睆 (うぐいすなく) | ||
魚上氷 (うおこおりをいずる) | ||
雨水 | 土脉潤起 (つちのしょううるおいおこる) | |
霞始靆 (かすみはじめてたなびく) |
「七十二候」をかなで読むと、季節の移り変わりが分かりやすいですね。