10年にわたってロングセラーを続けている群言堂の夏の定番素材、麻ガーゼ。風が通り抜ける涼やかな着心地は、一度味わうと手放せなくなること間違いなしです。これまでにも何度かの改良を加えて進化してきた麻ガーゼ。その魅力を改めて徹底解剖してみました。
10年にわたってロングセラーを続けている群言堂の夏の定番素材、麻ガーゼ。風が通り抜ける涼やかな着心地は、一度味わうと手放せなくなること間違いなしです。これまでにも何度かの改良を加えて進化してきた麻ガーゼ。その魅力を改めて徹底解剖してみました。
その1 麻ガーゼ、涼やかな美しさの理由
汗ばむ肌を風がスッと冷ましていく涼しさと、長く愛せる上質感。夏が来るたび恋しくなる麻ガーゼのこと、開発元のトスコ株式会社さんと一緒にお伝えします。
その2 麻ガーゼのおすすめ着こなし術
薄手で軽く、体を締めつけないつくりが心地いい麻ガーゼの衣。普段着からちょっとしたおめかしまで幅広く活用する着こなしのコツ、お伝えします。
その3 麻ガーゼの魅力、私たちが語ります!
日々さまざまな生地と向き合っている群言堂スタッフが、プライベートでも愛用する麻ガーゼの魅力を余すことなく語ります。
汗ばむ肌を風がスッと冷ましていく涼しさと、長く愛せる上質感。夏が来るたび恋しくなる麻ガーゼのこと、開発元のトスコ株式会社さんと一緒にお伝えします。
群言堂がこの生地を「麻ガーゼ」と名づけた理由。それは国内の熟練工場が手がける、甘織りの素材感にあります。通常の麻生地は、1インチ平方あたり経糸・緯糸が合計100本程度織り込まれているのに対し、麻ガーゼは75本。
まるで糸の一本一本が呼吸しているような、軽くやわらかな風合いです。生地自体の通気性と、麻のすぐれた吸湿発散効果が相まって、汗ばんでもさっと発散してくれるため、涼しさは抜群。
こんなふうに甘く織られた麻ガーゼが、洋服地としての耐久性を備えているのは、そもそも高い糸のクオリティがあってこそ。
使用している素材は、フランス北部ノルマンディ地方で栽培されるリネン(亜麻)。麻の洋服素材の中ではもっとも上質とされているものですが、その理由は繊維長の長さ。なめらかで美しい光沢があり、洗いを重ねても毛羽立ちにくいから、夏の普段着からおしゃれ着まで重宝します。
薄手で透け感のある麻ガーゼは、デリケートな印象を与えますが、実は意外に丈夫。これも着用と洗濯をひんぱんに繰り返す夏にうれしいポイントです。
そのひみつは「紡績強撚」という技術を用いた糸の撚り。通常の40番手(*1)の麻糸に比べ、約1.3倍の撚りをかけており、丈夫さとしなやかさの絶妙バランスを叶えています。上質なフレンチリネンにプラスαの価値を加えるこだわりの技は、着るほどにその価値が実感できます。
(*1) 番手とは、糸の太さを表す単位。数字が大きくなるほど、糸は細くなります。
麻ガーゼは、染め方にも隠れたこだわりがいっぱい。通常は染める前に塩素晒しをほどこして生地を真っ白にするところ、糸の表情を活かすため、生成りの色を少しだけ残す晒し方を選んでいます。
さらに、麻を熟知する染工所にて、糸に負担をかけない染めをほどこし、発色をよくするための後加工も「表情が平坦になるから」という理由であえて行っていません。深い色も明るい色も、どこか里山の空気を感じる質感に仕上がっているのはそのため。糸づくりから織り、染めまで、さまざまな職人さんの技が何度かの改良を経ながらリレーされ、たどり着いたのが今の麻ガーゼなのです。
薄手で軽く、体を締めつけないつくりが心地いい麻ガーゼの衣。普段着からちょっとしたおめかしまで幅広く活用する着こなしのコツ、お伝えします。
1インチ平方あたりの糸の本数を少なめに、通気性よく織り上げた麻ガーゼは、涼しげな透け感が特徴です。そこで着用時には、透けをケアするひと工夫が必要。麻ガーゼの涼感をそこなわないインナー選びが、快適に過ごすポイントです。
おすすめは、群言堂が30年以上前からつくり続けているシャンブレー楊柳のインナー。薄手ながら、しっかり透け感を抑えてくれます。極細の強撚糸を織り上げた生地には、縦方向のシボ(凹凸感)があり、肌に張りつかないさらっとした着心地。日本の夏を涼しく彩る伝統の知恵を、ぜひ感じてください。
日々さまざまな生地と向き合っている群言堂スタッフが、プライベートでも愛用する麻ガーゼの魅力を余すことなく語ります。
柳澤:
麻ガーゼを初めて使ったのは確か2014年、ちょうど10年前ですね。当時あった「根々」というブランドで、やわらかくて着心地のよい春夏素材を探していて出会ったんです。甘織りで織られていて、リネンではなかなかないやわらかさが印象的でした。
日吉:
ただ、こういう甘織りの薄手生地を洋服に仕立てるには、けっこうコツがいるんです。縫い目に負担がかからないようにしないといけないので、私たちの方でも、この生地に適したパターンを、試行錯誤しながら蓄積していった感じです。
曽我:
私は当時「根々」の担当ではなかったので、そばで「扱いのむずかしそうな素材だなあ」と思いながら見ていました(笑)。
日吉:
縫製も気をつかうところですが、腕のいい工場さんが丁寧に仕立ててくださっています。縫製だけでなく、ふんわり感を生かした仕上げのプレス(アイロン)をしてくださる工場さんの技術も大切なんですよ。こういったところが、長く愛せる品質につながっていると思います。
柳澤:
麻はそもそも吸湿発散性にすぐれていますが、麻ガーゼはさらに薄手で軽いので、洗ってもすぐ乾いてくれます。だから私は暑い時期の出張や旅行に重宝しているんです。
曽我:
確かに、ホテルの部屋でささっと手洗いして干しておいたら、すぐ乾いちゃいそうですよね。私は麻ガーゼの服を2着持ってるんですが、暑い日でも肌にまとわりつかずにさらっと着られるので、周りの人からも「それ涼しそうね」って褒められました。
日吉:
私は洗いざらしで着ていますが、アイロンをかけて着るという方もいらっしゃるみたいです。カジュアルに着たい時から、ちょっときちんとしたい時まで、表情の幅が広いですし、いろんな体格の人に、きれいになじんでくれるのも魅力ですね。
最近染め直しをした、スタッフ柳澤私物の麻ガーゼ ワンピース
柳澤:
あとは、デリケートに見えて意外に丈夫なのも麻ガーゼの魅力!私は3年ほど着たワンピースを今年染め直しに出しました。生地自体の劣化はまだ気にならないので、染め直してこれからも着ようと思っています。
曽我:
染めも堅牢で、色のもちもいいんですよ。麻の色のニュアンスを残した上から染めているので、それが色の表情に出ていると思います。
日吉:
シーズンごとにいろんな色を出しているので、色違いでお求めになる方もいらっしゃいますね。あとは毎シーズン買い足してくださるリピーターの方々も……。
柳澤:
一度味わうとクセになってしまう麻ガーゼの着心地、ぜひ多くの方にお試しいただきたいですね。
取材協力:トスコ株式会社
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