蕨(ワラビ)| 里山パレット図鑑

ワラビ


イシカグマ科ワラビ族 多年草

春の代表的な山菜のひとつである「蕨」。おひたし、炊き込みご飯、味噌汁の具、どの食べ方でも美味しい里山の春の味覚です。夏から秋にかけて大きく葉を広げた「蕨」を、根っこごと掘りだして染料にしています。

花言葉

真面目

里山パレットでの染色部位

根っこごとすべて

こいねず


基本情報

ほぼ日本全土の、草原、谷地、原野などの日が当たり、水はけの良いところに群生していて、成長すると0.5~1mくらいの背丈になる。茎は地下を分岐しながら横に這い、よく伸びて、春になるとところどころに新芽を出して葉を開き、やがて大きな集団をつくる。葉は冬には枯れて根茎を残し、春の芽吹きに備える。新芽は先が握りこぶしのように曲がった形で出て、褐色を帯びた細かい毛で覆われ、やがてほどけるように葉が開いていく。

補足情報

新芽は山菜として親しまれている。系統が多く、灰汁(あく)が無いものもあるが、多くの場合強い灰汁が出るので、食べるには灰汁抜きが必要となる。おひたしや和え物、味噌汁の実のほか、煮物、炒め物、巻き寿司の具などにして、独特の風味を楽しむ。根茎を乾燥して砕き、水にさらして採れたでんぷんは上質で「ワラビ粉」といわれ、蕨餅の原料となる(ただし市販されている多くの蕨餅は、小麦粉から作られているようである)。主な旬は4月から6月とされ、まだ葉が開く前の若芽を摘み取る。若芽の先端の葉が開きかけたものは固いため、葉が開かずに丸まっているものが良いとされる。


大森ばなし

春にはいろんな種類の山菜が採れる大森町でも、「蕨」は実はあまり採れない。山菜としていただく際は、車に乗って少し離れた地域の方に行って採らせて頂いたりする。この辺りに自生していない訳ではなく、山の方に行けば群生している場所もあるのだが、細い蕨ばかりなのだ。なので食べるという目的より植物として暮らしに活かしていくという意味を込めて、染料として使っている。

蕨の根は掘り起こすと若干の赤みを帯びているのだが、これは人間の血液のようにヘモグロビンを持っているからなのだそう。オレンジ色のような、赤土のようなこの独特の色は、根っこから吸い上げたこの土地のミネラルが関係しているのだなと納得できたような気がした。

植物採集人・鈴木

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