日陰でも良く育つ「青木」は、日本海側の常緑樹が多い地域の薄暗い林の中に多く自生しています。昔から民間療法として傷口に火で炙った葉を利用したり、寒さにも強いために庭木に使われることも多いです。冬に赤くなる実や枝葉を染料にしています。
初志貫徹 永遠の愛
枝葉 実
しらちゃ
日本原産で、季節を通して常緑で、この名がついた。東北地方南部、関東以西~沖縄の森林などに自生し、日陰でも良く育つ。高さ2m程の低木で、枝も幹も緑で光合成を行っている。葉は枝の上部に集まっていて、厚くて光沢がある。花は3~5月に咲き、褐色または緑色で枝先に穂のように小花を多くつける。秋頃から卵型の果実が赤く熟し、翌年の5月ころまでついていて、野鳥の餌にもなる。
暑さ寒さに強くて日陰でも育ち、赤い果実や緑色の濃い葉が美しく、海外では園芸種の斑入りの葉の人気も高く、庭園や公園の植え込みとして栽培されていることも多い。葉は排膿、消炎、抗菌作用があるため薬用にされ、火傷や膿の吸い出し、胃薬に用いられている。
大森周辺では、シイやカシの木、タブノキなどの背の高い照葉樹(太陽の光を浴びると葉が光る広葉樹)たちより低い層に生えているのをよく見かける。西日本で良く見られる「照葉樹林」を作る低木の一種である。「青木」は寒くなると赤い実をつける。葉は薬としても扱われ、生葉を火で炙り、火傷したところに当てると良いと言われる。照葉樹の森は東北だと一部の鎮守の森や公園でしか見られなかったので、大森に来て照葉樹の森に囲まれていることに心底びっくりしたのが懐かしい。
「照葉樹林文化論」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれないが、興味ある方はぜひ調べて一読してほしい。農耕や穀物食、発酵という文化はブータンや中国、台湾、西日本にかけて帯状にまたぐ照葉樹林帯が起源であるという学説である。
原始の森を想像しながら、そこで生まれてきた文化が現代の日本の暮らしに受け継がれていると思うと、人々の暮らし方や考え方が変化しても、この「森」という圧倒的な自然の母が生み出す「文化」というのは数百年、数千年経っても普遍的なものなんだろうと感じたりする。照葉樹林へのリスペクトを込めて「照葉樹林柄」の図案を描いたのは、何年前だったか。これはまた別のお話。
植物採集人・鈴木
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