野山に自生する「山椒」の枝葉を染料にしています。春に芽吹く若葉(木の芽)は香りがよく、果実も皮も香辛料として重宝されます。「暮らす宿 他郷阿部家」の夕食に並ぶ手作りの山椒味噌は、炊きたてのおむすびにもよく合います。
健康 魅惑
枝葉
こうじいろ
山地の雑木林などの半日陰地に自生し、樹高は1~3mに成長する。若葉は香りがよく、木の芽とも呼ばれ、食材として利用される。花は4~5月頃開花し、直径5mmほどで黄緑色。雄花は「花山椒」として食用にされ、雌花は若い果実、または完熟したものを利用する。果実の直径は5mm程度で、初め緑色だが、9~10月頃には赤く熟し、破裂して黒い種子がでてくる。
「椒」の字には「かぐわしい。かおりがよい。」という意味があり、山にある実であることからこの名がついたと考えられるが、「小さな実」という意味もあるようで、そこから名付けられたという説もある。古くから香辛料として使われ、日本の食卓ではおなじみの存在である。
葉(木の芽)・・・緑が鮮やかで香りが良い為、焼き物、煮物などの料理の彩として添えられ、また吸い口として用いられる。
花(花山椒)・・・花を漬けた花山椒は、料理の彩り、佃煮、当座煮などに用いられる。
実(実山椒)・・・熟した実の皮の乾燥粉末(粉山椒)は、香味料とて用いられる。
「山椒」の新芽は、葉わさび集めや、タケノコ掘りの時に出会うとうれしい。手の上で軽く叩くとピリッと爽やかな香りがして春の訪れを感じさせてくれる。普段のお料理では、粉山椒や山椒の実を使ったことはあっても、葉を使う機会は少ないかもしれない。タケノコの炊き込みご飯にそっと添えたり、天ぷらにしてみたり、少し手をかけて木の芽味噌にしても美味しいので、近くで見かけたときには挑戦してみてほしい。
ちなみにおすすめレシピは「ニシンの山椒漬け」。タッパーなどに山椒の葉を敷き詰め、その上に身欠きニシンを並べ、また山椒の葉を敷き、ニシンを並べるという手順を繰り返す。最後にニシンの上に山椒をひとつかみ分を蓋の代わりに敷き広げ、醬油、酒、お酢を1:1:1で注ぎ入れる。軽く重石を乗せて冷蔵庫の中で1週間ほど漬けておけば完成する。
良く浸かったニシンは山椒の香りを纏っていてすでに美味しそう。山椒の葉を軽く落とし、炭火で炙っていただくのが最高の酒のつまみになる。これを書きながら食べたくなってきたので、さっそく身欠きニシンを注文してみた。山椒の葉は殺菌効果もあるようで、雪国の保存食として主に初夏に食べられる。
植物採集人・鈴木
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