くま笹(クマザサ)| 里山パレット図鑑

くま笹クマザサ


イネ科ササ属

葉に白いくま取りがあるのが名前の由来です。このくま取りが愛されて、もともとは山地の植物ですが、庭だけでなく公園に植えられることも多く、親しまれてきました。葉に優れた抗菌や防腐、防臭の作用があり、昔から薬用に、食用に、活用されています。

花言葉

抱擁

里山パレットでの染色部位

うすみどり


基本情報

高さが1~2m、葉の長さは20cmを越え、幅は4~5cmにもなる大型の笹。その多くが日本に分布しているが、中国東北部から朝鮮半島にかけてや、樺太、千歳列島などにもわずかに見られる。地中に根を張り巡らせて栄養を吸収し、葉へと供給する。夏に淡紫色の花が咲かせるが、その周期は30年ともいわれ、目にすることは少ない。

補足情報

中国では昔から漢方薬として良く知られ、16世紀に記された医学書の「本草綱目」にも別名ではあるが収載されていて、日本でも古来から身近な万能薬として使われてきた。群言堂には「ササ和紙」というソックスやアームカバーなどのシリーズ商品があるが、これも「くま笹」の抗菌防臭作用を活かすために和紙にすき込んだ素材を開発したsasawashi 株式会社とのコラボレーションによるものである。


大森ばなし

里山に群生する「くま笹」。木々の足元や山の斜面、小川の周辺に密生しているのをよく見かける。5月頃に新しい葉を伸ばし、その葉には抗菌効果もあって笹餅や笹だんごなどを包むのに用いられ、ちょうど田植え時期のおやつとして重宝されている。

私の地元の南会津では三角に仕立てた「くま笹」に餅米を詰めて、リュウノヒゲで結び炊いた笹巻きというものがあり、お弁当代わりにこの笹巻きときな粉を持たせられた。笹の葉のおかげで、山歩きなどの際に持ち歩いても痛みがないので、すごいと思う。この葉はまた、薬草茶にも利用される。

雪に埋もれても枯れずに耐え抜くほど寒さに強いので、冬場、ヤギたちに食べさせる青草がなくなった時に便利で、よく食べる。近くの牛飼いのおじさんに冬場の牛の餌はどうしているのか聞いてみたら、豊富なミネラルを持つくま笹は反芻動物にベストな食べ物だと言われ、納得した思い出がある。

植物採集人・鈴木

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