山麓や岩場に多い樹木ですが、石見銀山周辺の山にも多く自生しています。針状のトゲトゲとした葉が特徴で、主にこの枝葉や松ぼっくりを染料として利用しています。焦げ茶色の色素の中に赤みを持っているのが松の特徴です。
不老長寿
松ぼっくり(松かさ)
のうみどり
松は大木になり、樹高10m未満のものから、大きいもので40ないしは50mに達する種もある。葉は短枝と呼ばれる枝の1種に数枚が束になって付き、その数は個体内で多少の差はあるものの、2枚、3枚ないしは5枚が束になって生えることが多く、種によってその数は決まっている。日本では二葉松はアカマツ、クロマツ。五葉松はゴヨウマツ、ヒメコマツ、ハイマツなどが知られている。花は雌雄同株。松ぼっくりは松の果実のようなもので、風による種子散布を行う種では、種子が成熟すると鱗片が反り返り、その隙間を外に広げる。種子には「種子翌」という羽根状の付属物があり、松ぼっくりが地上に落ちる際に、風に乗って散らばる。
松は今も昔も、日本人の文化や美意識に関わり続けている特別な存在である。他の木材と比べて可燃性の樹脂を多く含むので、焚き付けや、松明(たいまつ)として照明に使われ、白い砂と松の木の対比の美しさは白砂青松と呼ばれ、「松竹梅」というようにおめでたい木の筆頭としても親しまれ、正月には門松や松飾りにも使われてきた。また、松葉は不老長寿の妙薬とされ、民間薬として広く用いられていた(群言堂でも香りの良い「クロモジと松葉」のブレンド茶を販売している)。
大森周辺は自生している松が多く、少し小高い山の尾根沿いを歩いているとよく見かける。岩場や砂地でも育つように、養分が少なくても生きていけるようで、この辺りでは石州瓦を焼くための土を得るために山を削ったような場所などでもよく見かける。 だいたいそういう場所に生える松は背が低く余り大きく育っていないのだが、手の届く高さに松ぼっくりが付くし、お正月飾りなんかを作るにも、こじんまりした松は愛嬌があって使いやすくて重宝される。 染色部位は、今回は松ぼっくりだが、今後は松の葉でも染めるかもしれない。
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