色褪せても、着続けたい絣柄|お気に入り相談室

この度仕立て直しのご相談をいただいた、12年ご愛用のワンピース。
縦糸を等間隔に抜いて軽やかに織り上げた「空羽(あきは)」の生地にマンガン絣による井桁柄を施した、職人技が光る一着です。

繕いを繰り返しながらも、色褪せや穴あきやが目立つようになり、ついに袖を通すことが無くなってしまったそう。それでも捨てられず保管していらっしゃったところ、お気に入り相談室のことを知りご連絡いただきました。

空羽部分の生地が弱くなり、穴あきに。

日焼けによる色褪せ。

お気に入りのマンガン絣の柄を残すため、染め替えはせず、丁寧に解体して新たな形に仕立て直しを行いました。

ひとつひとつ解いて、仕立て直しへ。

お客様と相談しながら、お気に入りの部分は残しつつ、年月を経て変化した生活や体型にも寄り添えるように。

再び形を与えていきます。

色褪せが激しかった生地は裏返しにし、擦れや穴あきを補強しながら繋ぎ合わせることに。

ポケットも外して逆向きに縫い付けました。

繕いながら裏を表に、ブラウスに大変身。

衿の形と袖の長さはそのままに、お尻の隠れる丈のブラウスに大変身を遂げました。

体型の変化に合わせて肩周りにゆとりを持たせ、上下を替えた前身頃は元のボタンホールを活かしつつも第一、第二ボタンは着脱しやすいスナップボタンを忍ばせて。

さらに、生地が弱くなっていた部分には裏側に補強のステッチを。

再び長くご愛用いただけるよう、工夫を詰め込んだ一着に仕上がりました。

思い出の詰まったお洋服とさらに思い出を重ねられますように。もう着られないけれど捨てられない、そんな一着がございましたら、是非一度、私たちにご相談ください。

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