第八話 魔法のコーディアル前編|群馬県高山村 在る森のはなし 木暮咲季

私たちが現在実行しようと思っている事業は大まかに3つあります。

1.デイキャンプ
2.魔法のコーディアル(商品開発)
3.カフェ

あと2つほど事業を計画中ですが、まず初めにこの3つからスタートする予定です。
これらの事業は、先ほどお伝えした「私は何をしに生まれてきたんだっけ?」という問いにメンバーそれぞれが向き合いながら関わっているうちに偶発的に生まれた事業です。
これらの事業を進めながらメンバーの変化成長をみんなで助け合いチームを作っていく。それそのものも事業の目的です。

ということで第7話では、デイキャンプについてお伝えしました。

今回は開発中の商品「魔法のコーディアル」についてお話ししていきたいと思います。

が!!

この商品は村の農産物加工所「さとのわフードファクトリー」で製造しています。

ちょっと魅力的な施設なのでまずその加工所や施設全体を紹介したいと思います。

ということで魔法のコーディアルについては第8話と第9話を跨いでお届けいたします。

100年先も住み続けたい持続可能な村

「たからのやまたかやま」というコピーを元に作られたポスター。村の宝である景色を作っているのは農家さんのおかげ、という想いを表現しています

”一人ひとりが次世代を想い100年先も住み続けたい持続可能な村”をコンセプトにした新施設「たかやま未来センター さとのわ」が高山村にある道の駅中山盆地の敷地内にオープンしました。

こちらは移住・定住コーディネーターとしてだったりなんだりで立ち上げ当初から携わらせていただきました。

当初「そもそも新しく建物を作る必要があるの?」という疑問もある中で、大人の事情で後には戻れない状況。これはマズイ!と気づいた役場職員の計らいで村の若手が招集されプロジェクトがスタートしたのが3年前のこと。

決まったからにはやるしかない!という意気込みで、役場、振興公社、メンバーが協力して進めてきました。あの時、このままではマズイ!と気づいて自分ごととして動き出した職員のTKさん。感謝の気持ちでいっぱいです。

プロジェクトスタート当初、まずは村の置かれている状況をデータから把握し、課題感を共有しました。そこから村のあるべき姿とは?を考え、次に新施設のあるべき姿は?について総勢16名の若者で考えました。

●地域商社として、村の資源を循環させること
●村の景観を守る農家さんにとって嬉しい施設であること
●地域の人が地域を愛し、アクティブに地域にコミットするきっかけの場であること

そんな想い、結論が語られました。そこから「一人ひとりが次世代を想い100年先も住み続けたい持続可能な村」というコンセプトが立ち上がりました。

景色のいい席で村の野菜ピザをいただけます。こちらはビーツピザ。(ピース売りはイベント時のみです)

誰がやるかが重要、とは最初の議論から重要視されてきましたが、現在とっても誠実で人のことを想って働く多彩なメンバーが働いています。そんな人たちと一緒に仕事ができて、そして大切な仕事に携わらせていただき、ありがたいです。

※メンバーのひとりである私個人の言葉で書いてますのでご了承くださいませ。

初めての商品開発

試作後の打ち合わせ風景

先ほど紹介した施設、さとのわの中には4つのエリア【カフェ】【ラウンジ】【だんだん広場】【フードファクトリー】があります。

右奥の男性がフードファクトリーの若きリーダー!右手前の女性はこの日製造してくださったチャーミングなスタッフさん。

在る森のはなしメンバーたちで開発を進めてきたコーディアルをフードファクトリーさんにて製造いただく形でお世話になっています。

スタートしたばかりの加工所で手探りではありますが、「試作を重ねるたびにどんどんよくなっている!」とリーダーが確かな手応えを話してくれました。

こちらはさとのわカフェが村の野菜や牛乳を使用して作っているジェラート

そもそもコーディアルとは…?

ウィキペディアによると

イギリスとオーストラリアでは、コーディアルはハーブやフルーツを漬け込んだ極めて甘い濃縮されたノンアルコール飲料を指し、水でうすめて味わう。コーディアルは胃の不調に効果があるともいわれる。スカッシュも時にはコーディアルと呼ばれる。

甘い飲み物として子供が飲むことが多く、それ故に児童文学作品にも薬用酒と混同される形で登場することがある。『赤毛のアン』のいちご水 (raspberry cordial) や、『ライオンと魔女』に登場する薬酒などもコーディアルである。

とあります。

定義が曖昧ではありますが、私たちが作っているコーディアルはフルーツやハーブ、スパイスなどを煮詰めたシロップで、炭酸やお酒やミルクなどで割って飲む飲料です。

フルーツやスパイスなど生命力や人に与える作用が強い素材を煮詰めていますから、薬のような位置付けとして昔から親しまれてきたのでしょう。

現在で言うと、アロマオイルやハーブティーと同じようなシーンで登場する飲み物なのではないかなと思っています。

魔女っこが作ったコーディアル

ピンクオレンジ色のコーディアル「夕凪のマーメイド」

なぜ”魔法”のコーディアルなのかって?

ハーブ、スパイス、フルーツ、自然の力をたくさん使って煮込んでいるので”魔女っこがみんなのことを想って作った不思議なドリンク”というイメージの商品になりました。

不思議な森に暮らす精霊たちのタイトルが付けられたコーディアルはわたしたちを元気付けてくれます。

「夕凪のマーメイド」「逆光のドワーフ」「星夜のユニコーン」

物語の続きは第9話にてもう少しだけ綴りたいと思います。



写真1、2、4枚目:岡安賢一

写真5枚目:まるやまえり


筆者プロフィール

木暮 咲季

こぐれ・さき

1987年群馬県生まれ。東北芸術工科大学卒業。山形・蔵王の麓にて10年間、農、教育、手仕事などの仕事をしながら半自給自足生活。2016年秋に群馬県の高山村に移住。現在は「カエルトープ」に暮らしながら「在る森のはなし」を立ち上げ&開拓中。その他、村づくり業務、移住・定住コーディネーターの委託をうけている。

群馬県高山村・移住と暮らしのサイト

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