これまでは自己紹介と今に至るまでを振り返ってきましたが、今回は「開拓奮闘記」ということで、
どんな風に在る森のはなしを開拓してきたのか、まだまだ続くので完成ではありませんが現時点のビフォーアフターをお送りします。
土地に風が入り、光が入り。水が通るよう。
滞りがないように整える。
その作業はつまり里山の景色をつくることと同じ。
人が心地よく、自然にとっても心地よい。
その共存から生まれる景色、そういう場所を作りたい。
開拓し始めた頃は、そういう景色をつくりここで暮らそう。ということくらいしかイメージしていなかったのだけれど動機はなんであれ、土地をきれいにする作業が面白くてしかたがなかった。
第二話でも書いたけれど、この土地には只々景色を整えることが好きで動いている人がたくさんいる気がしている。
草刈ったら古民家登場
まずはじめに草刈り!
2020年9月。とにかく刈って刈って狩りまくる!
ただの雑草ではなく篠薮だったため、高いところは3mほどに伸びてしまい向こうに家があるっぽいけど……辿り着けない(涙)そんな状態からスタート。
最初は1人でスタートしたのだけれど女子のパワーでは太刀打ちできず父と村に住んでいる若い仲間の合計3人で行い2ヶ月ほどでようやく完了。
家の奥の藪はさらにひどく私は力尽きて父にお願いし、私はゴミの片付けに徹することに。日に日に刈り進めて行くうちに父のテンションがどんどん上がっていき「刈り終わったから見て!」と言われて行くと突然森が出現。
なんと藪の中にナラの森がありました。森が見えなくなるほどの篠藪、恐るべし…。
動画しか撮っていなかったので悔しいことにこちらのbefore写真はありません。
父に聞くと「そういえば昔はここに井戸があった」とのことで子どもの頃ここに遊びに来た時は井戸で水を飲んでいたんだとか。
潰れた古民家と納屋の解体
屋根まで草で覆われてしまい、おどろおどろしさすら感じる古民家。
なんども途方に暮れながら、草を刈り終えようやく全貌を現したものの、柱が折れて潰れており、しゃがまないと入れないようなペチャンコ状態。
後で使えるかもしれないと思い大きな梁を傷つけないよう気を付けながら、ユンボで解体。そこからはあっという間に更地になった。
ここにはベーコンの燻製小屋ができる予定で、現在すでに骨組みはできている。
まず初めに家の目の前がこんもり盛り上がっていたのでそれを平らに均し、その土を使って敷地の奥へ続く道をつくった。
その道を進むと畑があるのだが、ぬかるんでいてうっかり歩くと膝まで沈んでしまうほどだった。そこは水が湧くので昔の昔は田んぼにしていた場所らしい。
このままだと澱んでいるし、人も入れないので池と沢を作ることにした。
順調に池の水は溜まり、沢を伝って土地の下段にある川へと流れ落ちるようになった。
土地に手をいれる
このあたりは地下水が浅く少し掘ると水が湧く。
だからこそ、その水と共存する必要がある。
台風がくると水は行き場を失い土の上を走るか、土の中で溜まり限界が来た時には地すべりとなる。
けれど、例えばここで人がその水を活かし田んぼを営むために水の道をつくることで水と仲良く暮らしていける。
もし放っておくと…長い年月をかけて土地の形が変わり、川の位置が変わる。
人はそれを災害と呼ぶけれど、自然の方はどんな風に思っているのだろう。
自然も人も同じく、心地良くなくなった時に整えようと形を変える。
日々メンテナンスをしていればなんてことない事も、溜まりに溜まるとドカーンと変化する。
もしかすると、それはそれでよいのかもしれない…とも思うのだけれど迷った時には「美しさ」を基準にすることにしている。
風が入り、光が入り。水が通るよう。
滞りがないように整える。
人も自然も心地よく過ごせる環境をつくる。
お互いにその心地よさをもって日々生きていくのが良さそうだな。
きっとその心地よい世界から生まれる未来は、やっぱり優しく美しい世界だろう。
そんな風に希望を持っている。
この地球に人間が生きている理由を、そこに見つけられる気がする。
木暮 咲季
こぐれ・さき
1987年群馬県生まれ。東北芸術工科大学卒業。山形・蔵王の麓にて10年間、農、教育、手仕事などの仕事をしながら半自給自足生活。2016年秋に群馬県の高山村に移住。現在は「カエルトープ」に暮らしながら「在る森のはなし」を立ち上げ&開拓中。その他、村づくり業務、移住・定住コーディネーターの委託をうけている。