第十一話 自然環境との共生を目指して|オークヴィレッジの根のある仕事

第11回の今回は、経理・岩松がオークヴィレッジの環境への取り組みについてお話します。

1974年の創業当初より木という天然資源を用い、永く使い続けられるモノ造りを目指すオークヴィレッジにとって、自然環境との共生を考え、行動することは大切な企業活動の一つです。


こんにちは。オークヴィレッジの経理を担当しております岩松と申します。

日頃は会社の財務管理の仕事をしておりますが、私自身地球環境問題にも強い関心を持っていますので、財務面ではなく環境面についてお話ししたいと思います。

オークヴィレッジは、国産材にこだわり、お椀から建物まで、木のスペシャリストとして、より良い品質の製品を提供することを理念としています。これを地球環境の観点から説明いたします。

1.木は地球温暖化を抑制するエコマテリアル

木は成長の過程で、光合成により大気中のCO2(二酸化炭素)を取り込んで成長します。寿命を迎えると、分解されてCO2は再び大気中に放出されます。

しかし、伐採して加工すると木製品や木造建築として、さらに何十年何百年もCO2を固定し続けることができます。

従って、木製品を永く大切に使うことは、温室効果ガスであるCO2を永く固定化し続けることになるので、地球温暖化を抑制する効果があります。

そのうえ伐採したところに木を植えれば、次の木がCO2を吸収して成長してくれます。このため木は、金属やプラスティックなどにはない、「再生可能な特性を有している」素材=エコマテリアルといえます。

2.日本の木の文化と加工技術を継承

木を様々な形で生活の中で使用することは大切ですが、永く大事に使うことがより重要になります。日本人は、古くは縄文時代より木と上手につきあってきました。

一口に木といっても、様々な種類があり、物理的性質や色や木目、香など千差万別、同じ樹種の木でも樹齢や育った環境、製材の仕方でも異なります。

このことは木の良さである反面、製造の現場からすると、均質な他の工業材料とは違い、非常に扱いづらい素材になります。

それだけに木材を扱う職人の経験や技術が重要になります。「適材適所」という言葉がありますが、木の個性を見抜き、上手に組み合わせることで、1000年以上もつ木造建築を建立することができています。

私たちもこの日本の伝統的な木の加工技術を取り入れたモノづくりを行っており、使い捨てではなく、永く大切に使ってもらえるような製品を目指しております。

「適材適所」に木を生かす(挽き分けによる使用例)

3.国産材・地場産材・自社産材

日本は国土の67%が森林という、世界有数の森林国です。にもかかわらず、木材を輸入している現状はいかがなものでしょう。

海外から日本に運ぶのに木材1トン当たり平均すると480㎏ものCO2を排出することになります。

これが日本国内だと、仮に北海道から高山まで10トントラックで運んだとしてもCO2排出量は220㎏と海外からの半分以下になります。同じ岐阜県内であれば87㎏、飛騨であれば76㎏で済みます。

地場の木材を利用し、同時に森林を保全すれば地球環境への負荷は低減され、林業へもお金が回ります。オークヴィレッジが創業以来、国産材にこだわってきたのは、このような理由からです。

最近オークヴィレッジでは、自社の森林で伐採した木材の利用も始めました。

1つの団体やグループ企業で原材料の生産から加工、販売まで行うことを「6次産業化」といいますが、オークヴィレッジは1つの会社だけで6次産業化を実現できる珍しい会社です。

岐阜県 本巣市根尾地区の規格外広葉樹の活用プロジェクト「Neo Woods」

動画:旅する広葉樹【NeoWoods】

4.オークヴィレッジ環境経営宣言

2020年2月に下記の様な内容の環境経営宣言を発表しました。

 1. 森林の保全活動の実施

 2. 6次産業化の推進と地方創生への貢献

 3. 国産材を活用したモノ造り

 4. 自然エネルギーの利用

 5. 石油系プラスチック使用ゼロ

オークヴィレッジは現在7ヘクタールの森林を保有していますが、毎月枝打ちや除間伐、倒木の処理等々社員全員で森林保全活動に取り組んでいます。

今年の春には、子供たちにも参加してもらいオークヴィレッジの森にヤマザクラやカエデ、ニオイコブシなどの苗木を沢山植えました。

秋にはドングリを拾い、開墾した畑に植えて発芽・成長させ、ある程度大きくなったら山に植樹するという育林活動も本格的に始まっております。(詳細は第9話「森の中の仕事場」で紹介していますので、そちらをご覧ください)

社員による枝打ち作業

自然エネルギー関連の取組では、今年の4月から生産に使用する電力をクリーンエネルギー(CO2を発生させずに発電した電力)にすることで会社から排出されるCO2を大幅に削減することができました。

他にも様々な工夫でCO2排出を低減する取り組みを行う予定です。具体的な目標としては数年以内に、当社で排出されるCO2ゼロを実現したいと思います。

このようにオークヴィレッジは、木という大切な資源を活かしながら、木や森のことを学ぶ、永く使えるモノ造りを目指す、適切な手入れをする、自然環境にかかる負担を減らす…というような取り組みを続けることで、今後も持続可能な社会の実現を目指し、暮らしだけでなく、人と自然とのかかわり方も提案して続けていきます。

【プロフィール】
オークヴィレッジは、木のおもちゃや家具、木造建築を手がける木工房です。1974年の創業以来、日本の森から木という恵みをもらい、飛騨高山の地で日本の伝統技術を駆使したモノ造りを行いながら、森林保全活動や林業の6次産業化にも取り組んでいます。

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