2021年春|登美さんからの手紙

あるがまま、前を向いて。
おしゃれと人生は続きます。


目下、ヘアカラーをやめてグレイヘアに移行中です。
白髪が気になり始めたのは 代からでしたが、夫が4歳年下なこともあって、長らく「老けて見えないように」と、気を使っていたのでしょうね。でも夫の髪も真っ白になった今では、「あるがままを受け入れて楽しもう」と自然に思えるようになりました。

そんな私の心強い味方が、美容師の佐田百合子さん。出会ってもう30年以上になる、ひとつ年上のお姉さんで、それぞれが見つけた素敵なものをしょっちゅう教えあう仲です。移行期の「まだらヘア」にはベレーやターバンがおすすめ、と教えてくれたのも彼女でした。

「ベレーなどをかぶると頭部がコンパクトに見えて全身のバランスがよくなるし、ベレーと靴下の色を合わせて差し色にするととっても小粋。そこにブローチも加えて3点の色をそろえたら、さらにおしゃれ上級者な感じにまとまりますよ」というのが佐田さんのアドバイス。さっそく私もベレーやターバンを家のうちそと問わず楽しむようになったのですが、髪色が変化するにつれて、これまでは手が伸びなかった明るい色の服も楽しめるようになり、なんだか新鮮な毎日です。

車の運転ができない私は、バスに乗って隣町にある佐田さんのお店まで出かけていくのが、月一回の楽しみ。
店内にはいつも季節の山野草がのびやかに生けられて、穏やかな中にも芯の通った強さが感じられます。そこには30年近く茶道をたしなんできた佐田さんらしい美意識があり、いつも私に刺激を与えてくれるのです。うつわや骨董のこと、料理のこと、折々の室礼のこと。ふたりのおしゃべりは尽きません。お互いに子育てしながら会社を切り盛りし、それぞれの夢を追いかけて同じ時代を走ってきた者同士であり、言葉では言い尽くせない価値観を共有できる女友だち。そんな存在がいてくれるから、年齢を重ねた今を、一層楽しんで過ごせる気がしています。

松場登美

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