夫が料理に目覚めた!
私は車の運転ができないので、買い物に行くときは、いつも大吉さんの運転。
しかし、いっしょに住んでいるときの大吉さんは、買い物に全く興味がなかったので、私の買い物が終わるのを車で待っていて「早くしろ」とか「遅いぞ」とか小言ばかり。いつも急かされるように買い物をすませていました。
そんな大吉さんが別居後は、孫たちのために買い物に行き、食事をつくるようになったのだから人というのは変わるものです。
夫の住む家の母屋には、三女夫婦と10歳の男の子を筆頭に、5人の子どもがいます。夫はその孫たちの食事を楽しんでつくっているのです。その段取りから自分でしているので、毎日の買い物は日課になっています。
買い物はいっしょに行きますが、カゴは別々。ともに売り場を回りながら、私が「この牛乳がいいよ」とすすめても、「いや、俺はこれでいいんだ」と、そのあたりは相変わらず。たまに私がすすめるものを買うときもあり、そういうときは私もちょっと認めてもらった気分になりますね。
「味噌汁にさつまいもを入れると、子どもたちが喜んで食べるんだよ」なんてうれしそうに言いながら、カゴにさつまいもを入れる様子は、かつての大吉さんからは想像もできない姿です。
大吉さんの料理は何度もいただきましたが、おいしいですよ。「おいしい」って言って、みんなが褒めて育てようって言っていますから(笑)。
彼はいっしょに住んでいるときは、全く料理をしませんでしたが、40代の頃に「中華料理のカッコよさを体験したい」と本場の包丁や鍋などの道具を一式そろえて、島根県に来ていた中国の友人に料理を習っていたことがありました。ですから鍋の振り方は、プロさながらですね。
彼の料理で印象に残っているのは、「究める」シリーズ。
カレーやどんぶりもの、チャーハン、麻婆豆腐……、そのあたりを何度も何度もつくっていましたね。
それから「もしも」シリーズも面白かった。「もしもじゃがいもが1個しかなかったら」「もしも白菜しかなかったら」……、そういった清貧の料理を考え出すのもすごく上手ですし、中華風にアレンジするとけっこうおいしい。これもよくいただきましたね。
今はそれぞれの台所があって、それぞれのやり方で料理をしていますので、たまに二人で台所に立つと、予想通り戦争が起こります(笑)。
彼は前しか見ない人。使った道具の片づけは一切しない。シンクに山積みになったボウルなどは、私がせっせと洗って片づけます。こぼれたものを拾って掃除するのも私の仕事……。