ひと月ごとに同じルートを散策すると、春から秋へと、同じ場所で季節の移り変わりとともに、花たちの顔ぶれが変わっていくのがわかりました。自然にとっては当たり前のことに、初めて気がついたような感覚です。土が多種多様な命を含んでいることに、あらためて驚き、また、感傷的かもしれませんが、撮影のために視線を下げて見た世界に生きる植物はやさしいと思うのです。なんらかの理由で種が運ばれたその場所で、日当たりや土の成分、雨の量など様々な条件に合った種のみが発芽して花を咲かせる、そんな厳しい自然の掟ですが、どんな場所でも何かしらが顔を出してたくましく葉を広げ、その場その場で心地よさそうにしているのをみると、穏やかな気持ちになります。