「まるで宇宙船」針抜きジャガードの編み機【登美 × 岐阜県・株式会社ソトージェイテック】

久々の登場、針抜きジャガード

針抜きジャガードが2018年に登場しました。

あまりに手間がかかるため、生地屋さん泣かせの素材なんです。
でも出来上がった生地はふっくらとしていて伸縮性もあり、着心地がとっても楽。
畦状の表面は表情豊かで味わいがあり、そして見た目よりずっと軽い着心地が特徴です。

ソトージェイテックさんに伺った時、まさに「針抜き和柄ジャガード」を編み上げているところでした。

(ナイスタイミング!)

いやいや、おそらくこの「針抜き」の編み機を見せてくださるために、取材の日に合わせて生産スケジュールの調整をしてくださったのだと思うのです。改めてソトージェイテックのみなさま、ありがとうございます。

その編み機は、なんとも大きくて複雑なフォルム!
まるで宇宙船のような、近未来的な巨大な機械。こちらが「針抜きジャガード」の編み機なのです。

怪しく美しく光る、その内部。

筒状に編み上げられているこの生地は、まぎれもなく登美の『針抜き和柄ジャガード(2018年)』。

丸い筒状なんですね。編み上がった生地は吊るされているからなのか伸ばされているように薄いです。そして下へ降りていっています。

こちらは出来上がった生地。ふっくら厚みがあり風合い豊か。

丸編みの機械が並ぶ工場内

「ん?」
近未来な工場の中で、こつこつアナログな作業を続けておられる職人さんを発見。

(まさか!!)
そうなんです、糸を通す作業はまさかの手作業!

この糸の1本1本が編み地になっていくのですね。

実はこの「針抜き」、このたび群言堂が「お願いします!」って拝み倒して作ってもらいました。
なぜなら大変なんです。

群言堂の企画スタッフから聞いていましたが “ 機械を見たらわかる。機械を知っていたら、簡単に「針抜きしよう」なんて言えないから! ” と言っていただけのことはあります。

岩田社長が「針」を見せてくれました。

この針を1本1本手作業で機械から抜いて、編み機の準備をするそうです。

岩田社長:
今は針をコンピュータで簡単に抜くことができるらしいんです。でもやっぱり味わいが違います。抜きやすくするために、機械が楽できるような形に変わる。そうすると、風合いが出ない。ペタってなる。膨らみがなくなる。 『古い織機で作るから味が出る』っていうのはあります。そういうところは織り物の織機と一緒ですね。困ったもんです(笑)

ソトージェイテック 小野内さんと、群言堂 折井

編み立てたばかりの筒状の生地は、まだまだ途中の段階。
ここから風合いを出したり様々な工程を経て仕上げていきます。

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