共に味わう、ものづくりの楽しさ【登美 × 岐阜県・株式会社ソトージェイテック】第2回

左から:服部さん、岩田社長、小野内さん

ものづくりには“楽しさ”が必要

今回、ソトーさんを取材して印象的だったのが、「何事にも“楽しさ”が必要だと思っているんです」という、岩田社長の言葉です。

「“登美”さんの仕事は、やったぶんだけ僕らも伸びるということを信じてやらせてもらっています。時間も手間もかかることが多いですが、効率を上げることだけが仕事じゃないので。もちろん、ものづくりをするうえで生産効率を求めるのは大切なことですが、それだけでは面白くありませんからね」(岩田社長)

社長に就任される以前から、長年ものづくりの現場で働かれてきた岩田社長。だからこそ、ものづくりにおける “楽しさ” をとても大切にされています。

「現場には、僕よりも年上の職人さんばかり。ほぼ皆さん、普段は僕のことを“社長”とは呼びません(笑)。ときには『威厳がない』なんて言われることもありますけど、よりよいものづくりするためには、僕も一緒になって遊んでいたほうが絶対に楽しいはずなので」と、岩田社長は笑います。

岩田社長と小野内さん

登美のテキスタイル作りを担当してくださっている職人の小野内さんも、「壁を乗り越えることも一緒に楽しんじゃいましょう、というくらいの気持ちで仕事をしています。やっぱり、新しいものができるというのは嬉しいことですから」と話してくださいました。

若い世代へバトンを渡しても、ずっとパートナーとして

ソトーさんと群言堂のものづくりが、14年もの間途切れずに続いてきた一番の理由。それもきっと、新しいテキスタイルを生み出していくことの “楽しさ” を共に感じられたからなのでしょう。

今、ソトーさんでは若い職人さんも少しずつ増えているそう。ものづくりの醍醐味、楽しさを若い世代にも感じてもらえるようなベースを作っている段階です。

大量生産が主流になり、生産効率が求められることも多い現代だからこそ、もう一度原点を見つめ直す──人の手で仕事をすることのあたたかさや繊細さ、長年受け継がれてきた技術を、若い世代にも伝えていこうとしています。

「現代のものづくりでは、間に問屋さんや商社さんをいくつも挟むことが多く、最終的には自分たちが作ったものがどんな製品になって、どんな反応をもらっているのかまったくわからないなんてことばかり。だからこそ、群言堂さんと直接やりとりをしながら一緒にものづくりをさせていただいて、『売れましたよ』みたいなお話を聞くのもとてもやりがいです。そういう、コミュニケーションや関係性のかたちも含めて、当社の、そして尾州の強みにしていけたら」(岩田社長)

岐阜県・三重県を流れる揖斐川

尾州産地で古くから織物を作り続ける歴史と、長年の経験を持つ信頼できる職人さんたち。そして、楽しみながらものづくりに取り組み、若い世代を大切にする姿勢。
群言堂は、そんなソトーさんの確かな技術と心に、心底惚れ込んでいるのです。

いつかは次の世代へバトンを渡すことになっても、ずっと“山登り”のパートナーとして。まだまだ一緒にものづくりを続けていきたいですね。

書いた人

タクロコマ(小松崎拓郎)
1991年生まれ、茨城県龍ヶ崎市出身の編集者/カメラマン。これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』編集部所属。

撮影した人

伊場 剛太郎

1981年生まれ、静岡県浜松市出身のフォトグラファー。10BANスタジオ勤務後、藤井保氏に師事。2017年に独立。

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