さまざまな色・柄・風合いを表現する「登美」のジャガード。
トップス、アウター、ワンピースなど、毎シーズンさまざまなアイテムが生まれ続けています。
ブランド「登美」が大切にしているのはオリジナルのものづくり。
自然と暮らしに溶け込むようなアイテムを作るために色や柄はもちろん、手ざわりや質感にもこだわって生地から作り上げているのが特徴です。
そんなこだわりが詰まったジャガード生地を作ってくださっているのが 株式会社ソトージェイテック(以下、ソトーさん)。
ソトーさんは尾州産地の西部、岐阜県輪之内町で織物や編物を製造・販売する会社。
尾州産地とは、古くから繊維産業で栄え国内一の毛織物産地。イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並んで、世界三大産地のひとつと称されています。
ソトーさんとの出会いは、今から14年前の2004年。
「登美」の企画チームのひとり 折井が群言堂に加わった頃でした。
「私はそれまでニットが専門外でわからないことだらけだったんです。そうしたら、『どういうものが作りたいか、とにかく想いをいっぱい伝えていただければ何でも作りますから』と言ってくださったの」(折井)
それからはタッグを組んで、新しい生地づくりについてあれこれ考える日々。
「土壁に藁(わら)が練り込まれているような味わいを出したい」といった感覚的なイメージや、「表面に開けた穴からボーダー柄を覗かせたい」という技術的に工夫が必要なアイディアなどにも、長年応え続けてもらっています。
こだわりを詰め込むあまり、ソトーさんにとっては無理難題のような要望を出してしまうことも。
それでも現場では、「また銀ちゃん(“石見銀山”から取った愛称)からオーダー来たよ〜」と、冗談っぽく苦笑しながらも、試行錯誤を重ねてくださったそうです。
そして最終的には、長年職人を務める小野内さんの手によって想像以上の仕上がりに。美しく丈夫な、高品質の生地を作り上げてくださいます。
実際に、登美のジャガードアイテムを手にとってくださるお客さまも、何年も大切に着続けてくださる方が多いのです。
「いろんなお題をもらって、力を合わせて答えを見つけて、評価していただいて。一緒に山を登ってきたような感覚です。お題のレベルはいつも高いですが、ものづくりの面白さを感じられて楽しかったですよ」と話すのは、当時の営業担当・江口さん。
10年以上もの間、職人さんとの架け橋となってくれました。
何度も街の婦人服ブランドを廻って、さまざまな生地を見て、さわって。「これのここが素敵」「こういう形なら作れるかもしれない」「次はこんな感じで作ってみよう」といったように、江口さんと折井で一緒に調査をしたこともあるのだとか。ものづくりに懸ける想いが詰まった蜜なコミュニケーションによって、言葉では表現しきれない感性や価値観まで共有できるパートナーになりました
「『これをやってみたい』とアイディアを出すと、えぐっちゃん(江口さんの愛称)が『それはいいですね、新しいですね』なんていうふうに、力づけてくれるのよね。すごく褒め上手なんです。それで、なんとか形にしようとしてくださるの」(折井)
ソトーさんとのものづくりは、“ブランド”と“メーカー”の垣根を超えてきたからこそできるもの。
共に道なき道を進んで冒険を続けてきたパートナーなのです。
第2回では、ソトーさんが大切にされている『ものづくりへの想い』についてお伝えします。