石見銀山の草花ブログ*皐月

公開日 : 2018年5月16日

子供の頃を思い出す、田んぼを覆う一面のレンゲたち。

昨年の脱穀のあと、楫谷さんと一緒に田んぼにレンゲの種を蒔きました。来年は一面レンゲが咲くぞ、と楽しみにしていたものですが、4月にポツポツと咲き始めて間もなく5月になってまさにレンゲ畑となっています。担当小柳が子供の頃、田んぼに咲くレンゲの花は当たり前でしたが、近頃ではほとんど見なくなっていたので、思わず子供の頃を思い出しました。

小さな頃、首飾りに編んだことを思い出すシロツメクサもレンゲと一緒に咲いています。

一方、遊歩道の木々で覆われた場所では。

暗い遊歩道では、木々の間から時折さす日差しを受けて輝く様々な自然の光景がとても貴重なもののように感じられます。暗いところには暗いところの、明るいところには明るいところの植物が生きている、そんな当たり前のことをあらためて感じます。

細かな毛が生えており、触ると厚みがあります。

こちらは遊歩道内の木々が茂る場所に生えるユキノシタ。主に岩肌のコケと一緒に生えていて、その形と柄との様子がきれいだと思わず目を奪われます。

こちらは里の方に生えるユキノシタの花です。生える場所によって同じ草花でも成長が違うのですね。葉からは想像つかないほど美しい花を咲かせます。

シジミの殻の内側ような柄ということでシジミ蝶といいます。

五月晴れの気持ちの良い日。いきいきと大森の町は陽の光で輝いて、いろいろな生き物たちが活動しています。ウグイスがさえずり、ツバメが飛び交い、蝶や蜂たちも蜜を集めるために花から花へと忙しそうです。銀山川の川辺を歩くと、蛇が鎮座していました。マムシではないので噛まれても大丈夫なのですが、担当小柳にとっては、できれば会いたくない生き物です。

今回は神様からの贈りもののような光景に出会いました。一面に花開いたミヤマヨメナたちです。白い可憐な花びらがお陽さまの方を一斉に向いています。木々の間から陽が差すその場所にいっぱいでした。これだけの群生に出会え、こうして皆さまにご紹介できることは、本当にラッキーだと思います。

雌しべが3つに分かれたハコベ

雌しべが5つに分かれたウシハコベ

この時期陽の当たる場所にあちらこちらに咲くハコベ。小さな白い花は皆ハコベに見えますが、実はいろいろな種類があって、見分けるには雌しべを確認します。3つに分かれているのがハコベ。5つに分かれているのはウシハコベとなります。ここ大森の里山には両方のハコベが咲いていますので、虫眼鏡でぜひご覧になってみてください。

他の草花に混じって咲く小さな小さなその花はよく目を凝らさないと見落としてしまいます。

今回はたくさんの写真でお届けしていますが、もう1枚最後に、春の一番好きな花のひとつ、キュウリグサをぜひご紹介したいと思います。ブローチなどのモチーフにしたら可愛いだろうなと見るたびに想像が膨らみます。

後ろを振り返ると緑に覆われた要害山が見えます。冬の間は寒々としていた頂上の山吹城跡も緑に覆われそうです。銀鉱山として栄えていた16世紀、採掘が行われていた仙ノ山を見張り、支配する場所として最適だった要害山に山吹城は築かれました。戦国時代という時代背景を受け、銀山の支配をめぐる争奪戦が繰り広げられたとのことです。山吹城跡はすぐ分かるため、目印にもなります。

お届けしているエリアは主に銀山川付近です。

inkan_koyanagi_recipe.jpg 担当:小柳

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