前回いきなりの洋三節に若干ひるみつつ鉄輪(かんなわ)の夜を味わった群言堂一行。
二日目はいよいよちゃんとした打ち合わせということで、気を引き締めて朝起きました。
外に出ると空気は冷たく、粒子の細かい雪が朝日を浴びてキラキラときらめいています。
道路の側溝などいたる所から立ちのぼる温泉の湯気のおかげか、こころなしか温かく感じられました。
いたる所から温泉の湯気が立ちのぼる、別府ならではの風景
前回いきなりの洋三節に若干ひるみつつ鉄輪(かんなわ)の夜を味わった群言堂一行。
二日目はいよいよちゃんとした打ち合わせということで、気を引き締めて朝起きました。
外に出ると空気は冷たく、粒子の細かい雪が朝日を浴びてキラキラときらめいています。
道路の側溝などいたる所から立ちのぼる温泉の湯気のおかげか、こころなしか温かく感じられました。
旅館街の並びに演芸場(芝居小屋?)もあり、大変興味深い
いきなり放置される群言堂一行
さあ、今日は洋三さんとどんなお話ができるだろうかと楽しみにしておりましたが、
朝イチで電話してみると「みなさんでこことここに行ってみて、昼前にどこかで合流するから」というアバウトなスケジュール。
とりあえず言われるがまま歩いてみることに。
しかし朝一番はどこも開いておらず、外にいるとどんどん体が冷えてくるので唯一開いていた地元のおじさま方の集う喫茶店に入りました。
今どき珍しい完全喫煙のお店でおじさま方の煙を浴びながらコーヒーを飲み干し、洋三さんおすすめスポット巡りを始めました。
いかにも気持ちよさそうな名物・蒸し湯や足蒸しは残念ながらこの日お休みでした
期せずして行き当たりばったりな展開に
まず最初に「ぜひここでモーニングを」とおすすめされたカフェを探しましたが、
よく分からなかったのでとりあえず最初に見つけたそれらしきカフェに入ってみました。
お店の名前は「カフェ&ギャラリー アルテノイエ」。素敵なギャラリーに併設のカフェで、シフォンケーキがとても美味しかったです。
帰りがけにサービスで地獄蒸しのシフォンもいただいたのですが、これがもちふわ!?ふわもち?異次元の食感で大変美味しゅうございました。
その次に同じくおすすめされた、アルテノイエと同じ系列の宿「柳屋」さんを訪ねました。
洋三さんに「言えばわかるから!」と言われていたので「洋三さんにお聞きして参りました」と宿の方にお伝えすると、
別に話を通しておいたというわけではなかったらしく突然訪れた感じになりました(笑)
大変美味しいシフォンケーキ
柳屋のお部屋の入口。三浦はこの床が気に入りました
鉄輪の歴史を感じる建物を楽しむ
突然の訪問にもかかわらず大変快くご案内いただき、
明治時代の宿を引き継いでアートの息吹を吹き込んだという施設内を見せていただきました。
ところどころにアート作品があしらわれていたり、
またお部屋には温泉の蒸気の熱を使った温泉地ならではの暖房が備え付けられていたりなど目にも楽しい空間でした(ちなみにこちらにも前回の記事で取り上げた地獄釜がありました!)。
おかみの橋本さんはもともとは例の美味しいシフォンケーキなどをつくるお菓子屋さんでしたが、縁あって先代のおかみからこの宿を引き継ぐことになったのだそうです。
実は昨年大森町を訪れ群言堂や阿部家もご覧くださったそうで、とても嬉しかったです。
次のスポット「富士屋 Gallery一也百(はなやもも)」へは橋本さんがわざわざ直々にご案内くださり、
そこでようやく洋三さんに会えました。
「富士屋Gallery一也百」入り口
旅館の風情を残している玄関
こちらのギャラリーはもともと明治初期の旅館だった建物を再生しており、
コンサートもできるホール、ギャラリー、喫茶やクラフトショップなどのスペースがあります。
ギャラリーではちょうど、昭和の鉄輪を写した写真家、栗田元弘氏の写真展が行われていました。
洋三さんも関わる鉄輪をより深く学ぶ活動「鉄輪カレッジ」が共催する写真展で、古きよき鉄輪の風景が垣間見える数多くの写真たちに出合うことができました。
その後洋三さんのお知り合いもまじえて喫茶で小一時間お話をしましたが、大分から島根への行き方から別府周辺の歴史の話まで様々に話題が展開するものの、一向に群言堂での写真展の話には入る様子はありません。
ここでも洋三節が炸裂し、こちらが口を挟む間もなくあらゆるお話がマシンガンのように放たれるのでした。
とまらない、洋三節
どんな感じだったのか参考までに、そろそろお昼ごはんにしようかと言ったところからの展開をお楽しみください。
「というところで12:23になりますから、お昼ごはんに行きますわ。美味しいもんでいいんやろ?食べるのは。
今日ちょうど展覧会しとってよかったんよ、だけん。これもおいちゃんの活動の一部なんだちって。ここで今やっているのは鉄輪カレッジという活動で、ようするに鉄輪のことを学びましょうと。カレッジというのはスペイン語でいうColegioで、もともとはキリスト教徒の坊主の勉強場所やった。Aクラスの神父たちがみんなそれ。当時は南蛮貿易という騙しの貿易で、西郷どんよりも古い時にポルトガルからいろんなものを持ってきて、特に一番覇権を握ったのは黒色火薬やった。で「国崩し」ちゅう大きな大砲を作って。一発ぶっ放したらお城が崩れる、国が崩れるちゅうて。それで、ここ別府ではその材料となるミョウバンを生産しよった。つまり地球から取り出すわけ。それとサルファー、硫黄。というのを作っていた歴史があるんですよ。でね、それより前、古事記だとか風土記のところから書かれている1300年ぐらい前からこの町のデータははっきり分かっているんです。それで昨日も言ったけども、1300年の歴史の中でまだ温泉を使い切っていないんじゃないかって言ってた温泉水の化粧品を作る先生の話、あれは正しいんだよ。あいつは平成になって初めて、地下20mの温泉を汲み上げて分析した男やけんね。だからもっと時代が変わってハイテクが進んでいくと、これまで見えなかったものが見えてくるよと。逆に、この展覧会みたいに過去の、100年前に生まれた人がこんな写真を撮ってる、デジカメじゃない写真っていうところが面白さなんだな。時代の証言者みたいな。臼杵の河川には南蛮貿易で色んな文化が、彫刻だとか音楽とかっていうのが入ってくるんです。でこれらの情報を運んでいって儲けたのが石見銀山を開発した神屋寿貞の孫(曾孫?)神屋宗湛(かみやそうたん)。これは福岡人の海賊の類で、秀吉に三百両でフィリピンのルソン壷ちゅう、しょん〇ん壷を売った男なんよ。そういうのがぐるっぐる回っているんですよ。そういう意味では鉄輪っていうところは九州においても非常に古い時から経済効果が高かった。
でそういうのを学ぶ活動が鉄輪カレッジっていう名前になっているんですね。だからそういうところも面白いですな。いいかな!?お昼行こうか!」
ってな調子で、どんどんと話題が移り変わり、聞いている方はすぐに脳みそがパンパンになっていくのがご想像いただけると思います。
時々過激なワードも口から発しつつ、時間軸でもなんでも縦横無尽に話題が駆け巡ります。
一つひとつの情報を後から調べていくと名前が間違っていたり他の人と混同していたりなど精度にブレこそあるのですが、
全体として捉えるとなんとなく文脈がつかめるというか、ここで言えば鉄輪という地のこれまでとこれからがおぼろげながら見えてくるような気がします。さすがです、先生。
先生の靴下がオシャレでした
洋三さんおすすめの中華料理店へ
そんなところでお昼となり、洋三さんおすすめの中華料理「朋友(パンヤオ)」へ。
手軽でおいしく、麻婆豆腐や青椒肉絲などベーシックな中華ができたてアツアツで出てくる嬉しいお店でしたが、驚いたのは最後のデザートです。
それは洋三さんイチオシの「大学いも」でしたが、できたてで蜜がとろける大学いもを氷水に浸して食べるという、初めての食べ方でした。
パリッとした外側の食感と中のホクホクしたおいものコントラストが至高の、美味しいおやつです。
さっきから食べてばかりに見えるかもしれませんが、これも立派な世間遺産、であるはず。
朋友とはともだち、友人のこと
左奥の氷水に浸すと蜜が固まりパリッとした食感になります
食べている間も話が途切れることはなく、話は先ほどに引き続き秀吉や博多商人の話に。
話がバンバン多方面に飛ぶのでついていくのに精いっぱいでしたが、同行する大分の皆さまが口をそろえて「時にはあきらめが肝心」と言ってくださり少し安心しました。
お食事が終わると引き続き建物探訪が続きますが、そろそろまた三浦の体力が切れてきたので次回に持ち越しです。ごきげんよう。
<次回、ついに完結へ!>
イベント開催報告
とここまで書いた本日4月24日ですが、2日前に洋三さんと登美さんのトークショーが終わったのでそのご報告を少々させていただきたいと思います。
何度も笑いが起きる楽しい会でした
終了後の一枚
4月22日(日)は茅葺きの家「鄙舎(ひなや)」にて、
洋三さんのトークと洋三さん×登美さんのクロストークの2本立てで世間遺産をテーマにしたお話を繰り広げていただきました。
洋三さんのお仲間も大分から駆けつけてくださるなど、参加者にも熱の入った会は何度も笑いの起きる賑やかな中、幕を閉じました。
全国各地にある無名な職人の仕事や、日常の風景の中にある価値あるものに気付いて大切に残していかなければ、それらはどんどん風化してなくなってしまいます。
それらをカメラで記録し続けることをライフワークとする洋三さんと、借金をしても時間がかかっても守ろうとし続ける登美さん。
二人に共通する世間遺産を愛でる心をお話の端々から感じ取ることができました。
洋三さん、参加者の皆さま、ありがとうございました!
石見銀山生活文化研究所設立30周年企画『藤田洋三 世間遺産写真展』開催中!
会期:2018年4月5日(木)~5/27(火)
会場:群言堂 石見銀山本店 2Fイベントスペース
お問い合わせ:群言堂 石見銀山本店
TEL0854-89-0077(10:00~18:00)、水曜定休
shop@gungendo.co.jp
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