2017年6月12日(月)
この日は、驚いて目を見張る作業がありました。いつも、すごい!という思いで作業を見ているのですが、昨日から仕込んであった杉皮を加工し終え、「品軒(しなのき)」にかぶせるために、屋根上に運ぶ様子には圧倒されます。新人職人池田さんと佐藤さんが、下から踏ん張って運びます。
一枚一枚を少しずつ重なり合うように覆っていきます。きれいに覆い終わった後、多めに用意していた杉皮は屋根途中に残り、また、それを根気強く下へ降ろすという作業が続きました。
地上では、池田さんと元大工の佐藤さんが棟に据える竹の加工をしています。
両端に「針目覆い」を据えて、これからその間に茅を葺いて「品軒」の土台をつくります。
品軒の土台となる茅を葺き終えました。
地上で的川さんが杉皮を加工しています。
これから杉皮で覆っていきます。
屋根上半分ほどの位置に刺した竹串に杉皮を引っ掛けます。遠くから見ても相当に重そうです。
地上で加工していた青竹で杉皮を押さえます。
がんぶりの真上で合わせられた針目覆いの芯。
2017年6月13日(火)
重要な作業が続いています。昨日覆った杉皮を、きれいに切り出した青竹で抑えていきます。2本の長い竹を継ぎ、「品軒」の両側に3本を渡します。表から見える部分なので、3本の間隔を同じにするよう、品軒の土台として葺いた茅を締めている押さえ竹の位置を再調整するなど根気強く調整が行われました。がんぶりも2本の真っ直ぐな青竹を継ぎます。その継ぎ目を細工し、見事ぴったりと棟の頂点に据えることができました。
目印のために書いたもの。後々まで残るね、と苦笑いです。
遠くから屋根を見上げる大将森原さん(右)と当社楫谷(真ん中)、工務店の倉橋さん(左)。
追加の杉皮を加工しています。
青竹は大田市で採れたものとのこと。継ぎ目の加工をしています。
継ぎ目の芯になる木材を入れてピタリと合いました。
下では針目覆いの芯をつくっています。
がんぶりの高さを調整するために杉皮を足しています。
がんぶりと押さえ竹の仮据えをして針目覆いを置いてみます。
針目覆いの芯を置きおえて、本日の作業はおしまいです。
1枚半の杉皮でくるみます。
2017 年6月14日(水)棟上げの日
お天気に恵まれています。昨日置き終えた「針目覆い」を杉皮でくるんでいきます。また、破風を刈り整え、棟の顔をつくります。一方、下では、何やら落ちた藁を集めて細かく断裁しているおじさんがいます。尋ねると、土壁の補修用に「ドロ」をつくっているとのこと。古い垂木を取り除いた時にできた土壁の凹みを埋めるそうです。
押さえ竹とがんぶりの長さを切り揃え、そのうちに全て杉皮をくるんだ針目覆いを品軒の長さと揃え、と、神経を使う丁寧な作業が続きます。
破風の茅を刈り整えるラインを決めます。
藁を断裁するおじさん。泥に混ぜるそうです。
雨をよけるための杉皮です。今までの金属のものよりずっといいですよ、とのこと。
破風の頂点を固定するために、もう1本竹を加工して差し込みます。
品軒と長さを揃えます。元大工の佐藤さんの出番です。
余分な茅もハサミで刈り揃えます。
押さえ竹を、杉皮を傷つけないように切り落とします。
がんぶりをいよいよ落とします。
棟上げに備えて、的川さんが、師匠森原さんの花道をきれいにしようと心遣いしています。
古い垂木が取り除かれた跡。隙間に藁束を押し込み、その上からドロを塗り込めます。
乾けばもともとの土壁と馴染むとのこと。泥と藁ならではの補修方法です。
職人さん全員で、これからの無事を祈願します!
待ちに待った棟上げの一杯です!
棟の仕上げが完了しました。職人さんたちがヘルメットを脱ぎ、足場に集まります。大将森原さんが日本酒を手に持ち、屋根へ登っていくと後に続いて中腹まで登っていきます。丁寧に時間をかけて整えた棟に、日本酒を端から端までふりかけ、皆でこれからの無事の祈願です!3月下旬の作業開始から、おおよそ3か月間、毎日毎日、根気強くチームワーク良く作業を続けて、とうとうこの日を無事迎えました!皆で祝いの一杯を飲み干しました!
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