写真の仕事を始めるまで、僕はインドカレーを作っては、カレーばかり食べて生きる毎日だった。その頃暮らしていた京都岩倉の学生アパートで、インドカレー屋DiDiを始めたのだ。
24歳の時である。4畳半を3部屋借りて、壁をぶち壊してひとつの空間にした。水道とガス工事以外は全て僕の手作りだ。
市街地から離れた辺鄙な場所だったのでお客さんは来ないだろうと予想して、最初は厨房だけを作り、インドカレーの卸しとお持ち帰りの店でやるつもりだった。
ところが、始めてみると、ここで食べたいというお客さんの声がいくつもあった。今は妻となったベニシアも、インドカレーを食べに来るお客さんのひとりだった。
若い頃、ガンジス川上流部にある聖地ハリドワールにある瞑想道場で数ヶ月間滞在したことがあると彼女から聞かされた。