引っ越して1ヶ月が過ぎる頃には、なんとか普通に暮らせるぐらい、家に手を加えられた。
車を駐めるスペースも必要だったが、庭にはたくさんの木が育っていた。それらを真夏に移植するのは木にとって良くないことは分かっていたが、とにかく早く駐車場を作らなければならない。
植木屋でもないシロウトの僕が、大きな木を庭の別の場所に移植するのは一苦労だった。おそらく植物たちも生き抜くために苦労したことだろう。
涼しい秋風が吹き始めると、ベニシアは庭に手を入れたくなってきたようだ。
彼女は買い物へ行くたびに、食材と共にハーブや草花の苗も買ってくるようになった。庭の中で木や庭石がない箇所を耕して、石を取り除き、せっせと花壇を作り始めた。