今回ご紹介するのは『拓さんの阿部家レシピ』でおなじみ、他郷阿部家料理人「凡典座(ぼんてんぞ)」として活躍中の小野寺拓郎(おのでら・たくろう)さん(以下、拓さん)。話を聞いてみると意外な経歴の持ち主だった。
拓さんは昭和55年、八戸出身の父と庄内地方出身の母との間に生まれた。母の地元山形で生を受けてすぐに家のある静岡県湖西市へと移り、そこで25歳まで過ごした。
働きながら毎日手料理を作ってくれた母と釣り好きで魚のさばき方などを教えてくれた父のおかげで潜在的に料理に興味を持つようになる。
また両親の実家から送られてくる新鮮な海の幸・山の幸を食べ、中学校の卒業アルバムには「料理人になる」と書くほど食に親しんで育った。
一方では少年時代から野球一筋で、小・中・高、そして卒業後も草野球をするほど野球漬けの日々を送った。威勢のいい声と礼儀正しさはこの頃の賜物だ。