類は友を呼ぶとでも言いましょうか、私の周辺には変な人が集まって来ます。
今風に言うと変トモとでも言うのでしょうか。
中でも超変トモなのがカメラマンの藤田洋三さんです。
ちょっとやんちゃだけど無邪気。
好奇心旺盛な子供がそのまま大人になったような人です。
変なモノを見つける天才です。
お断りしておきますが、私の言う「変」はとびっきりの褒め言葉です。
二〇〇七年、石見銀山は世界遺産に登録されました。
同じくその年、周辺が世界遺産で沸き立っている頃、
藤田洋三氏の「世間遺産放浪記」が出版されました。
当時、私は、むしろこの「世間遺産」に興奮したものでした。
本の中には、社会からは見向きもされない、
忘れ去られて今や絶滅の危機にさらされた建築や道具が写し出されておりました。
そして、この度「世間遺産放浪記」俗世間編が送られてきました。
続編の続が俗になって俗世間としたところが、彼らしいところで笑ってしまいました。
無名の手仕事の暖かさや無骨な造作には、
単に懐かしいという言葉ではくくることのできない、
プリミティブアートの境地に至るものさえあります。
最初の世間遺産放浪記の表紙を飾った鞘蔵は俗世間編の裏表紙に、
それから半年後、朽ち果てて今は土に還ったと聞きました。
この写真は鎮魂の一枚となったのではないでしょうか。
大変光栄なことに今回私は世間遺産探偵団の一人として、
お仲間に入れていただくことになりました。
「世間遺産放浪記」俗世間編、ぜひ、おすすめの一冊です。
藤田洋三氏曰く、「一級も二級もない無級建築士、いや無給建築士、
大吉っあんの仕事はいずれ世間遺産になるに違いないだろう。」
登美