群言堂石見銀山本店

本店の中庭

大森のメインストリートにある群言堂本店の建物は、
わたしたちが最初に購入した古民家です。

群言堂の服、雑貨、寝具などを扱うショップに、
展覧会も開けるギャラリースペース、カフェを併設しています。

洋服を主に取り扱うエリア。通称「ギャラリー」

県内外の窯元の焼き物や生活雑貨も揃えています。

約三〇〇坪の敷地があるのですが、改装には一八年という歳月がかかりました。
オープン当時の店は、ひと部屋を改装しただけでした。
お客さまが来られるというのに、ほかの部屋は廃墟も同然。いま思えば異様な光景だったでしょう。
口コミだけで何の宣伝もしなかったため、当初は売り上げゼロの日が何日もありました。
それでも、「この豊かな田舎の風景に価値が見出される時代がきっとくる」と思って、
少しずつ少しずつ改装を重ねました。

竹の根っこを使ったディスプレイ

店には、入ってすぐのところに八畳ほどの部屋があります。
このスペースは四季折々に室礼をしています。
極力買ったものは使わず、自然のなか、町のなかで拾ったものを使って飾ります。
店に入って来られたお客さまは、まずこのディスプレイに驚くことでしょう。
たとえば、根っこのついた竹をさかさまにして置いてみたり、
裏山で伐採された木を並べたり、拾ってきた瓦を広げて置いたり、土を盛ってみたり…。
拾いものは、わたしたちにとって宝物なのです。
また店内でも、いたるところに復古創新の思想を汲んだ作品が見られます。
割れたガラスは、近所のアーティストが、ステンドグラスにして修復しました。
ものは壊れるとダメになるというイメージがありますが、
このガラスは割れたことによってよみがえったのです。
ガラス窓の向こうは、庭。ステンドグラスも葉っぱと木のデザインで、自然に溶け込んでいます。

割れたガラスを繕ったステンドグラス

ショップには、古い金槌を壁に埋め込んだ服のフックがあり、
基礎石の跡が床に模様のように價んでいて、
庭には吉田さんの作品である鉄の精霊がたたずみ、
枕木でつくられた箱庭つきの机が置いてある…
そして、それぞれの部屋を飾るのは野の花。
細かな遊びが至る所にちりばめてあるこのお店では
来てくださったお客さまに、買い物を楽しみながら、
お茶を飲みながら、この懐かしくて新しい空間を、ゆったり昧わってほしいと思います。
大森の町でこれらの空間を大切にし、継続させていくことは、わたしたちの一つの目標です。

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