1998年ちょうど改修した本店ギャラリーがオープンしたその日のことでした。
鳥取から家主である阿部さんご夫妻が訪ねて来られ、
直接「阿部家を買ってほしい」と持ちかけられたのです。
以前から私たちは空き家で朽ち果てているとはいえ、
武家屋敷として普通の家とは品格の違う阿部家に惹かれていました。
とはいえ貧乏な私たちに手が届くはずも無く、
どなたか本当にこの家が気に入った人がいたら住んでもらいたい。
その為の橋渡しができたならと思っていました。
何件かの阿部家の再生の話がありましたが、
立ち消えになりその度に残念に思っていました。
一つ何かができあがるたびに、次の目標を立てるのが私たちのやり方。
本店の改修を終えて次の目標を探していた私たちにとって、
阿部家の購入の相談はタイミングよく降って湧いた様な話だった訳です。
私と夫は店から自宅へ向かうほんの数メートルの間に、阿部家を買おうと決意していました。